会社員生活を送っていると毎日のように上司や顧客から質問を受けることだと思います。今回は仕事のシーンでの質問の答え方について解説していきます。

初めに

「質問を受けている」という状況ですが、どのような時に質問を受けていますか?

それは相手が疑問を持っている時ですね。嫌な質問がくることもありますが、社会人たるものコミュニケーションは必要なので、質問に対しては回答をしなくてはなりません。無視するのは論外です。ですが、回答の方法というものがあります。日常生活では友人から質問された時は自分が話したいように回答しても問題ないですが、会社生活では違います。相手が理解しやすいように回答する必要があります。ではどのように回答すれば良いのでしょうか?

①相手の質問を理解する

大事なことです。質問に対しての回答をしましょう。考えたら当たり前のことですが、できていない人はかなり多いです。

例1:A君は業務中にB部長に呼び出されました。

B部長「A君さっき仕入先からこの部に対して2021年度は月平均3,000万円販売してくれと要望が来た。そこで私が各商品毎に目標金額を振り分けたてみたが、この仕入先の商品はA君がかなり理解していると思い、各商品毎の振り分けは妥当なのかA君の意見が聞きたい。どう思う?」

という質問がきたわけですが、この時注意することがあります。相手に気を遣わないことです。B部長はA君より役職はかなり上ですが「A君の意見が聞きたい」と言っています。ここで「せっかくB部長が考えた案を否定するわけにいかないよな」なんて考えたらA君に聞いた意味がなくなります。会話には二人しか参加していなのでB部長が恥をかくわけではありません。

問題ないと判断したら

A君「問題ないと思います」

という回答をしましょう。

B部長が理由を聞いてこなかったら、

B部長「わかった、ありがとう。」

これで終わりです。

B部長が理由を聞いてきたら、

A君「2020年の実績と乖離が少ないことと、来年度の受注残を照らし合わせると達成不可ではない目標だと思います。」

という回答をしましょう。

改善した方が良いと判断したら

A君「商品XとYの目標を200万円下げ、Zの目標を400万円上げた方が良いと思います。」

という回答をしましょう。

B部長「なんで?」

A君「XYは年々実績が下がってきている商品で、500万円/月は厳しいです。逆にZは今年も好調で来年度も期待できます。既に来年度の受注残もあり、当初の目標に対しては過達になりそうです。」

という回答をしましょう。A君はB部長の質問を理解し回答することができました。ではC君の場合はどうでしょう。

C君「きつい目標ですね。仕入先がお願いしてきたのですか?ちょっとXの目標は厳しいと思います。」

半分正解ですが、B部長と同じ目線で考えていません。ただ意見を述べるだけでなく、どこを改善した方が良いということまで付け加えるとB部長としては相談して良かったな。と思うわけです。この場合のC君は本当の意味での質問を理解していませんでした。更に付け加えると「仕入先がお願いしてきたのですか?」はB部長の質問の回答になっていません。B部長としては「きつい目標なのはわかっている。どうやって達成しようかと考えているところじゃないか。」この質問がB部長なりのちょっとしたSOSであったことを理解するべきでした。

ポイントをまとめると

①なぜ自分にこの質問がきたのかを理解できてこそ質問を理解していることになる

②質問に対しての回答をする

①は経験が必要な時もありますが、②は即実行できます。いつもの癖で返事をするのではなく、質問を受けたときに冷静になってください。相手が何を聞きたいのかはっきりすると思います。

②結論から回答する

これも大事なことです。これができていないと聞き手は会話全体の中から自分の聞きたかったことを探し出さなくてはならず、正直疲れます。仕事でのことなので間違って捉えたら後々トラブルに発展しかねません。なので聞き手は結論がどこにあるのかわかりにくい回答をされると神経を使うのです。

例2:A君は社内の2021年度の課と課員の予算を決める会議に出席しています。部長課長が部と課の方針と予算を発表した後、A君達個々の予算の説明に入ります。A君は事前に2021年度は月2,000万円を販売することを目標予算として自分に設定しこの会議に臨んでします。

A君「X社500万円、Y社300万円、Z社100万円/月、その他○○を見込み2,000万円/月2021年度は販売していきます。」

D支店長「ちょっと待て、X社は毎年600万円は実績として出しているぞ。この予算編成は間違いではないのか?」と支店長から痛い所を突かれました。そうなんです。もちろんA君もそのことはわかっていました。これには理由があり、競合他社がX社に営業を仕掛け始め、価格に苦戦しており2021年度は更に価格が下がることと、100万円程売上を持っていかれることをA君は覚悟していました。D支店長に対しての回答をA君は始めようとしますが、A君は動揺してしまってます。仕方ありません。部長より役職が上の支店長から直接問われたらこうなります。

A君「X社は私の主要顧客ではあるのですが、ここ最近は調子が悪くて600万円見込むのは難しいかと、ですが営業努力で何とか600万円まで近づけたいと思います。」

と回答しました。

D支店長「では予算編成は間違いではないということだな?X社が復調できるようにちゃんと営業しろよ。」

と言い訳から入ってしまい、D支店長の質問に対しての回答ができませんでした。結局D支店長が問いただして予算編成が間違いでなかったことになります。更には競合他社がX社に営業を仕掛けているという事実がD支店長に伝わりませんでした。このように結論を先に述べないと会話のテンポがおかしくなり、伝えたかったことが更に伝えにくくなってしまいます。

このように回答してはどうでしょうか?

A君「間違いではありません。」

これだけでOKです。D支店長が何も聞いてこなかったら、下のような回答を続けて入れても良いと思います。

D支店長「何か理由があるのか?」

A君「実はX社には競合他社が新しく営業を仕掛けてきており今年度は何とか参入は阻止できていますが来年度はわかりません。最悪100万円程売上が下がることを想定しています。」

D支店長「状況はわかった。では競合の参入を防ぎ続けたら600万円は見込めると考えていいな?」

A君「はい。大丈夫です。」

一番最初に支店長が聞きたかった間違いなのか?に対して結論を持ってきます。少なくともこの時点でD支店長には間違いではなかったことが伝わります。このような場面では自分が悪いことをしているような気持になりがちですが、怒られているわけではなく、事実を聞きたいのです。落ち着きましょう。結論を最初に言うと、先程のように次は言い訳を聞いてくれる時間を相手側から持ち掛けられることが殆どです。結論を先に述べ言い訳をするとA君は色々やってはいるが苦戦している。と少なくとも悪者にはならず、逆に評価を上げることになります。

ポイントをまとめると

①結論を先に述べることで次に述べる理由が現実味を帯びてくる

②怒られているのではなく、問われていると考え冷静に質問に答える

③対顧客でも結論から話す。

私は天井クレーン設置の営業が実は得意でした。ここでは実際に行った商談をA君に置き換えて紹介していきます。もちろん私も話し方一つで他社に負けた経験を何度もしてきています。今回は上手くいった一例になります。

A君はX社の方と一緒に天井クレーンを設置したいというエンドユーザーY社にアポを取って訪問したところです。

Y社「実は自社倉庫を新築しそこには天井クレーンを設置しようとしています。これが建築図面ですが、この図面だけで見積ができます?」

A君「この図面だけでは見積できませんが、あと揚程(床からクレーンを置いてある場所までの高さ)がわかれば見積できます。揚程は何メートルですか?」

ここでストップです。Y社の方はこの図面だけで見積できますか?と聞いています。絶対に見積の可否を最初に答えましょう。先に揚程は何メートルですか?と聞き返さないようにしてください。質問に質問で返すと「話聞いてました?」や「質問に答えてください」と言われたり思われたりします。

A君「揚程はわかりました。ではこちらから提案ですが、ローヘッド型というタイプのクレーンをお勧めします。普通のタイプより揚程を稼ぐことができますよ。」

Y社「普通と違うということは値段が高くなるのですか?」

A君「若干上がります。」

Y社「若干とはどれぐらいですか?」

A君「おっしゃる通りですよね。若干という表現はよくありませんでした。およそ製品代の1割です。」

ここでストップです。少し話に緩急をつけましょう。実は若干というのはこちらが仕掛けた罠です。これを言うとどれぐらい?と質問されることが多いです。返すのがおっしゃる通りという言葉、「自分が間抜けでした。そこに気づいたあなたはさすがです」という副音声がこの言葉には含まれています。これで相手の機嫌は良くなることが多いです。

Y社「では今までお話しした条件でざっくりどれぐらいの金額になりそうですか?」

A君「ざっくり300万円です。」

はい、ここでも結論から述べましょう。即答することで自信がある、こいつに任せたら大丈夫だな、と相手を安心させられます。

一番ダメなのが、「うーん、状況にもよりきりなのでケースバイケースです。」のような回答です。結論から述べる以前に結論がありません。じゃあ300万円と答えて見積400万円だったらどうするの?という疑問があるかもしれませんが、外しても良いのです。基本的に会社が何か購入する時は見積を取ってから予算を確保する流れになります。400万円の見積の場合、400万円の予算を取るだけです。ここで聞かれたのは担当者が見積が出されるまでの間にどれだけの覚悟をしとかなくてはならないかを確かめる為です。どうしても心配な時は、以下の文言を足せば良いと思います。

A君「ただし○○のような場合は金額が上がる方向です。それは今の段階では判断できません。」

と付け加えておきましょう。

正直この商談は上手くいき過ぎました。この後2か月後に発注、施工という流れになりました。恐らく他社に見積は取られていないと思います。

ポイントをまとめると

①対顧客でも社内同様、質問には結論から回答する

②結論を言い切ることで、自信が伝わる

最後に

普段意識していないとなかなかクセ着かないかと思いますが、できるようになると会話がスムーズになります。但し友人との会話ではこの方法は避けてください。冷たい印象を持たれてしまいます。ですが、社内で一目置かれるためにはほぼ必須かと思います。ぜひこの話し方に挑戦してみてください。

投稿者について

短大卒業後就職し営業職経験を積みました。
趣味が多様で広くやっております。
スイッチソフト各種記事や営業経験での仕事のアドバイスができます。

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