新年度も近づいてきて4月から新しく会社勤めが始まる新卒の方もいらっしゃるのではないでしょうか。入社したはいいもののこのコロナ下で初日からリモートワークということも考えられなくもありません。今回は営業職として入社した新卒のかたを対象に粗利率の計算方法や用語の説明を行います。

よく使う用語の説明

いきなり粗利率と言われてもわからない方が殆どだと思います。ここでは粗利率の計算の他に営業職がほぼ一生使うであろう用語も説明します。

予算

買い物をするとき、例えばテレビを買いたいとします。この時貯金が10万円だとすると10万円より高いテレビは買えないですよね?(ローンを組むは除外します)では8万円以内のテレビにしようとしたとしたら、およそ7万円程の品物に目をつけると思います。この7万円が予算です。ではどのようにして7万円を導き出しましたか?

10万円のうち最低2万円は手元に残しておきたい、2万円無いと生活ができない。だとしたら7万円台で抑えないといけない。これと同じで会社も予算を立てないと運用が難しくなります。会社の場合は先ほどの考えの逆算で、今年度○○を買い替えたい。従業員が何人いるから人件費は○○円だ。建物の賃貸が月○○円だ。そうなると○○円以上売らなくては赤字になる。ということで、営業の皆さん今年の4月から来年3月までに○○円売ってくださいね。として指示され売らなくてはいけない○○円が予算となります。俗に言う売上目標の事です。

売上

では売上とは何を指すのでしょうか?簡単に言うと「○○が売れて○○円手に入る」です。また買い物の話になりますが、あなたがスーパーで100円のジュースを買う時、レジで100円を払ってジュースと引き換えると思います。この100円がスーパー目線では入ってくるお金(売上)になります。

原価

あなたが買い物をしたおかげでジュースが売れ、先ほどのスーパーには100円の売上が発生しましたが、スーパーもこのジュースは他の会社(ここではA社とします)から購入していることが殆どです。A社からこのジュースを購入する場合80円で購入できるとします。この80円が原価になります。簡単にいうと「払わなくてはいけないお金」です。営業会社では仕入と呼んだりします。ここでも主に仕入の方を使っていきます。

粗利(利益)

このスーパーは100円の入ってくるお金と80円の出ていくお金が発生しました。となるとスーパーに残るお金は20円ですね。この20円が粗利(利益と呼んだりもします)スーパーはこの粗利を積み重ねて働いている人の人件費や建物の光熱費を払っています。

粗利の計算

先ほど粗利として出た20円ですが、どのようにして求めましたか?

簡単ですね 100円 - 80円=20円つまり、売上-仕入=粗利となります。

粗利率の考え方

先ほど、粗利を求めることはできましたが、売上に対してどれ程粗利が出ているかを求められることが実際の社内では毎日のようにあります。これを粗利率と呼んでいます。単位は%です。これには計算式があり以下のように計算します。

粗利率[%]=粗利/売上x100 にて求められます。

これを先ほどのスーパーに当てはめると

20/100x100=20となり、粗利率20%であることがわかります。ここで注意ですが、売上/仕入ではないことです。

例えば 売上110円 仕入100円の場合、慣れていないと11%と考えがちですが、

実際の式に当てはめると(110-100)/110x100=9.0909%となり間違いです。必ず粗利/売上で計算しましょう。

また、別の式でも求められます。

粗利率[%]=(1-仕入/売上)x100 先ほどのスーパーに当てはめると

(1-80/100)x100=0.2x100=20%となります。実際の業務ではこちらの式を頻繁に使います。

なぜ粗利率を出さないといけないかというと、実際の予算には粗利予算も目標として課されるからです。人件費や光熱費等は、粗利から払われる為、必然的に粗利も○○円稼がなくてはならないとなります。売上と粗利の予算を渡されたときに自分の粗利率を計算してみてください。

例 売上予算1,000万円 粗利予算150万円 粗利率150/1,000x100=15%

あなたは予算を達成するためには1,000万円の売上と150万円(15%)の粗利が必要になります。つまり一回の商売の粗利率の目安が15%になります。だから毎回売る前に粗利率を確認するのです。ですがここで都度粗利単価を出していたら時間が掛かるので、先ほどの式を更に省いて以下の計算式と暗算を使います。ここから先は電卓を使用してください。日常の業務でも電卓は必須です。

①仕入/売上

②仕入/(1-(粗利率/100))

あなたはこれから顧客Bに電子レンジを販売します。そこで見積書を作って顧客Bを訪問しようとします。今見積書を作っている最中ですが、上司からは「どんなに値切られても45,000円未満では販売しないでくれ」「粗利率は15%以上を確保してくれ」と指示を貰ってます。仕入れは40,000円です。

まず40,000円の仕入れに対して45,000円で販売した時の粗利率を見てみましょう。

この時①の式を使ってみてください。40,000/45,000=0.8888が出てきました。おわかり頂けましたか?粗利率は11.1%ですね。実は①の式は続きがあり(1-仕入/売上)x100なのですが、かなり省略し残りを暗算しています。(1-0.888)x100のところを100-88.88と置き換えましょう。すると11.1となります。慣れてくると0.8888を見ただけで11.1%だなと判断できるようになります。

では粗利率15%を確保した時の売上を見てみましょう。

この時は②の式を使ってください。40,000/(1-(15/100))=40,000/(1-0.15)=40,000/0.85=47,058.8が出てきました。おわかり頂けましたか?

仕入から15%の粗利を取って売れと言われたら仕入/0.85をすれば良いのです。1-(粗利率/100)の部分を暗算です。

上司の指示を守るなら顧客Bへの初回見積提示額は47,059円より上で、値切られた場合の下限は45,000円となります。

掛率と粗利率の関係

さて、入社してからは業務もですが、製品を覚える為にカタログを眺める機会が増えてくると思います。ですが、カタログには希望小売価格と書かれていて何のことかさっぱりの方もいるかと思います。この希望小売価格はメーカーが消費者に販売する場合はこの価格で販売してくださいね。という俗に言う定価です。消費者ってどの層の事を指すの?まさかうちにもこの価格で卸すの?と心配されるかもしれませんが、そんな殿様気質な仕入先はほとんどありません。ちゃんと定価掛率で卸してくれます。実際に気になってある商品を仕入先に問合せてみます。するとメーカー側の回答は40掛けです。とのこと、これは「定価の40%で御社に卸しますよ」という説明をかなり省略した回答です。例えば定価100,000円の品物でしたら、40,000円で仕入れることができるということです。

では何故、40,000円です。と答えてくれないのかという疑問があるかと思いますが、実はメーカーも自社製品のすべてを把握しているわけではありません。その為商品群にして分けていることが殆どです。Xという商品群は定価の40%、Yという商品群は定価の20%という感じにです。これがあればカタログ商売がかなりやりやすくなります。仕入れるときだけでなく、販売するときもです。例えばC社から商品群Xの価格問合せがあったとします。掛率がわかっていたら、一度メーカーに問合せする必要が無いですね。さらにC社への卸す掛率も決まっていれば、カタログを見ながら定価の50掛けです。もしくは50,000円です。という回答がスムーズにできるようになります。

では、また粗利率に戻りますが、定価掛率20%で仕入れられる商品を定価掛率25%で販売した時の粗利率は何%でしょうか。仕入れは?いくらで売るの?という疑問がありますが、20/25をしてください。それで解決です。

仕入掛率/販売掛率でも粗利率は求められます。

20/25=0.8 20%の粗利率になります。

これがかなり便利で、営業先で突発的に価格を聞かれた時、定価100,000円の商品でうちにいくらではいるの?という質問に答えられるようになります。ただ、どの商品がどの掛率で仕入れられるかを暗記しておく必要はあります。

最後に

用語説明から粗利の基礎、応用まで説明しましたが、ご理解頂けましたか?営業1年目の方には役立つ内容だったと思います。これ以外にも不明な点はお問合せでも対応しますのでお待ちしております。

投稿者について

短大卒業後就職し営業職経験を積みました。
趣味が多様で広くやっております。
スイッチソフト各種記事や営業経験での仕事のアドバイスができます。

おすすめ:

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です